RGB
このサイトについて
僕と君と明日のつづき
四畳半ダンディズム
connection
favorite お気に入りに入れる
e-mail メールを書いてみる
Windows Live Messenger メッセで話してみる
author
細川又三良
(ほそかわ・またさぶろう)
1972年愛知県生まれ、男性。

art direction & design
Instant Design Works

photograph
matasaburo EXHIBITION
caution
※当ウェブサイトはリンクフリーです。リンク等に関して 許可申請やリンク報告などの必要はありません。

※収録された小説作品はすべてオリジナルです。エッセイは一部事実を元に構成されたフィクションです。

※文章や写真の無断転載無許可使用など、及び画像データへの直接リンクは一切禁じます。

subscriber
総購読数
(2002.05.20〜現在)

 
045.『愛され上手は瞳の想い、愛し上手は手の動き』
Date: 2006.09.24
 時々、私はエッチが上手くないので、彼氏が喜びそうなテクニックとかあったら教えてください、と言ってくる人がいる。
  僕がセックスの達人とでも思っているのだろうか。
  正直に言うと、そんなテクニックなんてあまり知らない。だから、僕に聞くよりも風俗関係のウェブサイトを検索した方が時間の無駄にはならないと思う。
 
  まあ、この辺は友達にも具体的に話せないだろうから、女性としたらとても興味深いわけで、事実、だからこそ女性ファッション誌でもセックス特集は売れるのだろう。
  研究熱心なのは結構なことだけど――大切なのは、そんなことじゃないのにな、と思ったりもする。
 
  だって、僕は風俗嬢と寝たいわけじゃないから。
 
  過去にセックスをしようとして、途中で止めたことが何度かある。
「はい、いいよ、いいから、もう止めて」
と、すぐにベッドから身を起こして、下着を履いて、さっさと着替えて終わりにする。
  女の方は、裸のままベッドの上できょとんとして女の子座りしている。
  まぁ、仕方ないかなと思う。僕が何に怒っているのか、ちゃんとわかっている女性なら、こんな事にはならないだろう。
 
  セックスをしたくない女。
  顔の良し悪し、歳の上下、胸の有り無しなど一切関係なく、こういう女だ。
 
1)地声を出す
  セックスの途中で、普段と変わらない声で話し出す。
2)途中で笑う
  愛撫や挿入している途中で、意味もなく笑う。
3)ペニスの触り方ががさつ
  優しさや愛おしさも感じさせず、乱暴に握ったり触ってくる。
 
  セックスはファンタジー。
  普段の生活から切り離された夢の部分。
  それゆえに、普段見せない自分の本性をお互いに見せ合わなければならない。
  しかし、ファンタジーは夢である以上、どちらかが照れて、醒めて、引いた時点で、あっけなく崩壊してしまう儚いもの。
 
  例え話をすれば、ディズニーランドと他の遊園地の違いでもある。
  知ってるかい? ミッキーマウスは舞台裏でゲスト(お客様)がいない場所でも、キャスト(従業員)の前ではミッキーとして、にこやかに手を振ることを。
  彼らは本気で、真剣に、強い気持ちで夢の世界を築き守ろうとしている。だからこそ、彼らの夢は永遠の輝きを放っているのだ。
 
  そう、キスやフェラや騎乗位などで借り物のテクニックなんて磨く前に、まずは相手に魔法を掛けることが必要なのだ。
 
  あなたを本当に愛おしく思っている。
  あなたがいなければ死んでしまう。
  あなた以外の人には抱かれたくない――。
 
  その気持ちを胸の中で高めて、瞳で想いを伝え、手の動きでそれを表現するのだ。
 
  予想外にも早く射精してしまったのは、彼女の瞳の想いが理由だった。
  彼女は、僕のペニスを美味しそうにしゃぶっている時も、たまらずに早く欲しいと懇願する時も、ようやくおちんちんを入れてもらった時も、ずっと僕の目を見つめていた。
  強く深く突いてみると、苦しそうに表情を歪めたが、焦点が定まらなくても必死に僕を目を追い続けた。
「こんなに濡れて、エッチなおまんこだね」
  意地悪に言葉で辱めて、イヤイヤと首を横に振っても、すぐに僕を見つめた。あまりにも強い瞳の想いに、僕はすでに魔法に堕ちていた。
「……いいよ、きて」
  最後はそんな風に潤んだ瞳で訴えてくる。
  僕は狂ったように腰を動かし、彼女の中で頂点に達した。
 
  別れるまで誰とも浮気しなかったのは、彼女の手の動きが原因だった。
  キスをする時、彼女はいつも僕に手を腰に回すように言った。そして、自分は僕の腕に身を任せて、両手で僕の頬を優しく大切に包んだ。
  軽く唇が触れ合うぐらいのキスをして、一度、唇を離して見つめ合い、今度は両手で僕の頭を抱き締めるように口づけを交わした。
  正常位での性交――彼女の手が優しく僕の両腕に触れてきたら、それはゆっくりと私を味わってという合図、手と手を擦りつけながら徐々に彼女の膣を満たしていく。
  両手を上に上げて万歳の格好をしてきたら、それは強引に私を奪ってと言う合図、彼女の細い手首を握って、身動きできないようにして激しく犯していく。
「もっと、いっぱい、ちょうだい」
  彼女の白く細く冷たい手は、僕の両腕をつたい、肩に届き、首筋をそそって、最後に僕の頭を引き寄せて、自分の胸に抱き寄せる。
  彼女の手の動きは、他の誰よりも僕を愛していると訴えて、本当に誰とも浮気をする気が起きなかった。
  僕はたまらずに腰を突き出し、彼女の中で射精した。
 
  ここまで書けばわかるはず。
  僕はどこか誰かとセックスをしたいわけじゃなくて――大好きな君と愛し合いたい、ただ、それだけなんだ。
  もっと、僕を愛して、もっと、僕を愛しさせて。
  テクニックなんかよりも、僕をもっとその気にさせて。
 
  愛され上手は瞳の想い、愛し上手は手の動き。
 
  そっか、一度試してみるね、じゃなくて、本気で、全部そうして欲しい。

 (了)
<メニューに戻る>
(C)Copyright matasaburo
CMYK