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author
細川又三良 (ほそかわ・またさぶろう)
1972年愛知県生まれ、男性。
art direction & design
Instant Design Works
photograph
matasaburo EXHIBITION |
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| 024.『あなたに、ずっと、あいたくて』 |
| Date: 2005.07.13 |
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時々、メールやメッセで「又三良さんにお会いしてみたいです」とか、他にも「又さんといろいろな話ができる友達になりたいんです」などと言われることがある。
会いたいとか友達になりたいとか言われることは、とても光栄だし有り難いことなんだけど、そのどれも丁重にお断りしている。
お茶や食事を一緒にする程度の興味で「会いたい」と言われても、正直、迷惑なのだ。文字通り“身も心も裸になるぐらいの覚悟”で「会いたい」と思う人ではないと、会ってもつまらないし時間の無駄なだけ。
そう、単純に言えば、僕はエッチ前提じゃないと会わない人間なのだ。
この僕の意見は、結構、批判の対象となっていて、コラムなどでカッコイイこと書いていて、結局はエッチ目的じゃないですか、と言われることがある。エッチ前提は事実なので、まあ、批判する人の気持ちもわからなくもないが、別に最初からそんな条件を設けたわけではない。
そうなった背景にはいくつかの決定的なエピソードがあるのだ。
過去に、わざわざ青森から東京まで、僕に会うためだけに上京した女の子がいた。
突然、「又さんに会いたいから明日上京します、是非会ってください」とメールが届いたのは深夜0時過ぎ。つまりは当日になっていて、慌ててすぐにお断りのメールを書いたのだが、結局、間に合わずに仕方なく会うことになったのだ。
彼女のリクエストで渋谷で待ち合わせることになったのだが、ハチ公前で会った時から何か様子が変だった。
緊張しているのは微妙に伝わっていたが、黙ってても気まずいだけだと思っていろいろ話し掛けてみた。しかし、彼女は「はい」、「うん」、「いいえ」ぐらいしか答えず、まったく会話にならなかった。
お昼ご飯がてら、ソファのある居心地のいいカフェに立ち寄ったが、そこにいた一時間と少し、僕にとっては非常に苦痛な時間だった。
いくつか話題を提供しても、話が盛り上がるどころか、彼女はポツポツと一言二言を返すだけで会話は全てそこで終わった。話題を考えるのも疲れ果てて、試しに僕が黙ったら彼女は自分から話し出すだろうかと思って黙ってみたら、その後、三十分以上沈黙の時間が続いたのだ。
彼女にしてみれば、とてつもなく緊張していたとか、実物の又三良に幻滅したとか、会えただけで満足したとか、いろんな感情があったに違いない。
しかし、僕は生身の人間なのだ。ネット内でのプチ有名人でもネット内に生息する珍獣でもないのだ。
帰り際、駅まで送る途中で、何故か僕は彼女に謝ってしまった。
「えっと、ごめんね、なんか、つまんなくて」
彼女はボソボソと「いいえ」と言って立ち去った。
その直後、何でこんな思いをしなきゃいけないんだとウンザリして、自己嫌悪に陥ってしまった。
他にも、又さんと友達になりたいんですよ、とメールを書いてきた女性が、どうしても電話で話したいと言うことで直接話したことがあった。最初は世間話だったが、そのうちに様々な相談事を聞かされて、それに僕が意見をすると、
「アンタ、私のこと全然わかってないくせに、偉そうなこと言わないでよ」
と言われてしまったことがあった。その瞬間に、ああ、この人は話を聞いてくれるのなら誰でも良かったんだ、と思った。
同時に、こんな事を繰り返しても自分にストレスが溜まるだけだし、良いことは何一つ無いことに気付いた。そして、サイトでもリアルでも、優しい振りして良い人ぶるのは一切止めようと決めた。
そもそも、僕の場合、本当の意味で親しく何でも話すのは、心と身体を通い合わせた特別な女性だけだったのだ。女友達に相談されるとか、今まで避けてきたのだった。
それから、オフ会などにも極力出ることなく、ネットで知り合った人と実際に会うことを止めていた時期、ある一人の女性が僕の意識をコロッと変えてしまった。
彼女とはその日、昼にメールが来て、夜にメッセで話し、深夜には電話で話して、次の日には会うことになった。
実際に会った時は、さすがにお互いに緊張していたものの、会ってセックスすることを約束していたので、ホテルに入って身体を重ねたら、その後、お互いにスッと心の壁が取れて、とてもラクにスムーズに楽しい時間を一緒に過ごすことができたのだ。
男女の関係において、本当の姿は寝てみないとわからないとはよくぞ言ったものだ。
彼女は僕にコンタクトを取る前から、僕とセックスすることを前提に会うことを考えていたと言っていた。
「デートの終わりがセックスって嫌だよね」
そう僕が言うと、彼女はうんと嬉しそうにうなずいた。
彼女にチヤホヤして、デートの終わりに、どうにか口説いてセックスに持ち込む――そういう恋の駆け引きを楽しむ人もいると思うけど、僕はそんなデートは嫌だな、と思った。
デートの終わりにセックスに持ち込む作戦を考えるよりも、僕はもっと彼女と話したいことがあった。
――と、こんな事をエッセイに書くつもりは無かった。
しかし、今までにメールやメッセで同じ事を何度も聞かれ、その度に、いちいち説明するのも面倒なこともあって、エッセイにして四畳半ダンディズムに掲載することにした。
他に、良くある質問で、
「女の子を片っ端から口説きまくってるんでしょう」
と言われたりするが、実際はそんなことはあり得なかったりする。
なぜなら、数多く口説けば、その数に応じただけ、携帯番号など個人情報をばらまくことになってしまう。過去にストーカーの被害にあったり、2ちゃんねるなどの掲示板に誹謗中傷を書かれたこともあり、そんな危険なことをするわけがない。
なので、片っ端から口説くなんて絶対にあり得ません。自分の身は自分で守らないとね。
「でも、又さんは何だかんだ理屈をつけても、ただエッチがしたいだけだと思う」
これもしつこく言われます(笑)
まあ、興味を持った女性を抱きたいのは本当なので否定しないけど、ただ、性欲だけ満たしたいのなら、歌舞伎町で一万円も出せばプロのサービスを受けられるので、こんなに面倒なやりとりなんてしません。まあ、僕のことをそう思ってる女性には絶対に死んでも近づかないので大丈夫ですよ。
そして、エッチ前提だと必ずこういう質問が返ってくる。
「じゃあ、相手が男性でも実際に会う場合は、エッチ前提なんですか?」
はぁ、まったくもう……(笑) 僕はゲイでもバイでもないので、それは100%あり得ないです、当たり前。
その代わり、女性とは違って、男性の読者と会う場合は、思想や価値観が同じ方向に向いていて、なおかつ、知識やセンスを共有できなければダメだし、ガツガツと議論しつつ分かり合えるような関係じゃないと会うことは無い。
僕にとっては会話もセックスもコミュニケーションの方法の一つなのだ。
「今までにネット関係でどのぐらいの女性とつき合ってきたんですか」
この質問に対して、包み隠さずに答えると、このサイトを通じて、少数だけど数人の女性と出会ったことがある。もちろん、会ってすぐにセックスをしている。
でも、会う人は本当に極端に少ない。
一度、会う約束してても、ビビって土壇場でキャンセルする女性もいるし、後で僕から、「やっぱり止めましょう」と断る場合もある。お互いに気持ちがないのに、セックスするだけって本当に虚しいだけだから。
そして、一度会って結ばれた後、それ一回きりで終わる場合もあれば、恋人関係になって付き合う場合もある。
最初のデートでセックスをしない方が長く続く、とか言う人がいるけど、僕の場合、このケースには当てはまらない。すぐにセックスしようがしまいが、気の合わない人とは付き合えるわけがないのだ。
そして、最後に、
「エッチ前提じゃないと会わない」
と言う目的は、もう一つある。
それは単純に便利だからだ。
「又さんに会いたい」とか「親しい関係になりたい」と言う女性に、一言、
「あ、僕、エッチ前提だから」
と言うと、大半の人は「あ、そうなんだ」とあっさりと諦めてくれる。彼女も僕も誰も傷付かないし、それでいて、後腐れないのがいいのだ。
(了) |
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