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細川又三良
(ほそかわ・またさぶろう)
1972年愛知県生まれ、男性。

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008.『誤字脱字などのご指摘について』
Date: 2006.04.12 執筆コラム
 ずっと前にWindows Live Messenger(旧 MSN Messenger)でよく話していた北海道に住む大学生の女の子が、いきなり、
「又さんって誤字脱字が多いですよね」
と言い出してきた。
  数はともかくとして誤字脱字があるのは事実なので、
「毎回、慎重にチェックしているのだけど、どうしてもミスは出てしまうね」
と素直に反省したものの、その日、何故かその言葉だけでは許してもらえなかった。
「誤字が多いのは大減点ですよ。ご飯を食べていたら小石が入っていたような感じがします、不愉快です」
  その気持ちは著者である僕が一番にわかる。僕だって出来ればすべてのミスを無くしたい。
「私は文法的な間違いや誤字脱字には絶対に気付きます。その辺で完璧主義者の私と又さんでは性格が違うかもしれませんね」
  確かに性格も関係あるかも知れないが、誤字脱字などの校閲はまた別の問題だと思う。
「又さんは今までにまともな国語の勉強をしてこなかったんじゃないですか、小学生でも間違えない漢字を間違えていますよ」
  あまりにも執拗な追及にさすがに僕も少し腹が立って、
「このサイトは文章の量も多く、書いた本人が校閲するなどの問題がある。しかし、個人一人でやっている以上、どうしても手が回らない部分はあり、ある程度のミスには仕方ないと思って指摘して欲しい。なるべく早急に対応するから、どうかそれで許して欲しい」
と告げたが、彼女の抗議はそれからもしばらく続いた。
 
  以前に雑誌や広告、ウェブでの記事の編集の仕事をしたことがあるが、どんなに優秀な編集者でも作家やライターでもデザイナーでもミスの無い人間は一人もいない。それゆえに書いた本人以外の人間が、何度も複数人でチェックして、エラーを回避する方法を取っている。
  出版社も刷った紙を商品として売る以上、校閲には専門の人間をつけてお金をかけてヒューマンエラーを取り除いているのだ。それでも頻繁に雑誌や新聞などで誤字脱字、用法の間違いなどが発見される。
 
  小説家も最初から完璧な文章を書いていると思っている人が多いが、そんな作家はいない。綺麗に印刷された本は何度も念入りに修正された結果なのである。
  プロの作家の側も、出版社の手が入らない個人のウェブサイトの場合、例えば、芥川賞作家の花村萬月氏は自身のサイトの中でお断りとして、
「この文章は原稿料の発生しないので誤字悪文等は各自が校正してください」
「原稿料の入らぬ文章のため、誤字等に対しては責任をもちません。あしからず」
「このページも校正がはいっておりません。誤字等、一切の責を負いません」
と何度も繰り返し書いている。
 
  長くサイトを続けていると、誤字脱字などのミスを指摘する人は大きく分けて二つのパターンがあるのがわかる。
  一つ目は上に書いたように「こんなミスがありました。もう信じられません、詰めが甘いですね、ご自分で読んでらっしゃるんですか、とてもガッカリしました」と厳しくミス追及派。
  二つ目は「既にご存じかも知れませんが、他の方からのご指摘があったかも知れませんが、気分を悪くなされるかも知れませんが、あの箇所を間違えてます」と気遣いミス指摘派。
  僕としてはどちらも要らぬ神経を使わせているようで申し訳なく、単純に「この箇所とあの箇所は誤用ではないでしょうか、ご確認ください」程度の文面で充分に伝わるのになと思ってしまう。出来れば、そんな風に事務的にあっさりと伝えてくれた方がわかりやすくて、ありがたい。
  
  その後、例の北海道に住む女の子から送られたメールにはURLが記載されていて、そこにリンクしてみると、彼女のホームページがあった。
  そこの日記を覗いてみると、読んですぐに彼女が書いた文章がミスだらけだったことに驚いた。簡単な誤字脱字だけではなく、文章のお作法もなってないし文法的におかしい所もチラホラ。
「まったく、しょうがないな」
と苦笑する。きっと人間という生き物は、自分の姿は見えないままで他人のアラを見出す能力があるのだろう。

  このような文章を書くと、ミスに対して言い訳をしてるとか開き直ってるとか言ってくる人がいるが、そうではない。
  小説でもエッセイでも大切なのは、読者に文章を読ませてその世界にどっぷりと浸からせること――その中で誤字脱字などがあると現実に引き戻すことになり、せっかくの文章が台無しになってしまうことになる。
  それで一番残念だと悔やんでいるのは、苦労して時間を費やして書いた僕自身なのだ。それゆえに何とかそのミスを少なくしようと、多くの目に触れさせてご指摘をいただきたいと思っている。 

  どうぞ、これからも誤字脱字、スペルミス、用法の謝りなど遠慮無くご指摘ください。それらを参考にこれからの執筆活動の糧にさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 (了)
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