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僕と君と明日のつづき
四畳半ダンディズム
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細川又三良
(ほそかわ・またさぶろう)
1972年愛知県生まれ、男性。

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003.『女の子は声を大にして』
Date: 2006.04.05
 セックスの時、女性の多くは演技をしていると言う。
  男はそれを嫌がっているが、事実、多くの男が女の演技を見抜けないでいるらしい。まんまと女の演技に騙されて、自分がセックスが上手と勘違いをしている男性も多いことだろう。
  そう、この僕も、その一人なのかも知れない。
 
  しかし、実際のところ、僕は自分のセックスにあまり自信を持っていない。
  別にやり方がわからないとか、ちんちんが異常に小さいとか、少し擦っただけでイッてしまうわけではなく。
  セックスの後に、僕とのエッチどうだった? と聞くと、
「又さんって、本当にセックスが上手ね」
と言われたこともあれば、
「んー、別に普通かな、良くも悪くもない」
と言われたこともあるからだ。
  この辺は、相手との愛情の深さや身体の相性もあるんだろう。だから、まあ、何とも言えないと言っておこう。
 
  ただ一つ言えることは、僕はセックスはテクニックではないと思っている。
  例えば、AV男優のように女の子のGスポットを責め続けて潮を吹かせるのが得意だとか、様々な体位を試して楽しいと思えるタイプではない。
  大体、僕は遅漏でなかなかイカない人間なのだ。
  上手なフェラでも、激しい手コキでも、締まる膣でも、我慢しようと思えば何とか射精を我慢してしまう。
  それよりも僕がイッてしまうのは、彼女の言葉だったりする。
  さっきまで普通にエッチしてたのに、彼女の両腕が僕の頭を優しく包み込んで、一言、
「愛してる」
と言うだけでそのまま射精をしてしまったことがある。コンドームの口を縛りながら、
「今回、早過ぎて、ごめんね」
と謝ると、彼女はクスクスと笑って、
「何で謝るの? 又さんが気持ち良くイッてくれたら私もすっごく気持ちいいの」
と言ってくれた。
  射精したばかりなのに、すぐにまた彼女の身体を求めたのは言うまでもない。

  セックスの最中、男にも様々なタイプがあるが、僕はやたらとしゃべりかけるタイプの人間だ。さすがに小説を書いているだけあって、イマジネーションが豊かなのか、自分の創り出したストーリーに自分で酔って射精に導いていしまうこともある。
  物語の一つに、浮気追求編がある。
  彼女が社会人の場合、この前、上司と一緒に飲みにいったり、同僚に送ってもらったり、男友達と遊んだりしたことをネチネチいやらしく突いていくのだ。
  当然、彼女は何を聞かれても「いいえ」と答えることしかできない。それを良いことに僕は戦時下の特高(思想を取り締まる特別高等警察)のように、高圧的な態度で彼女を追求していくのだ。
  しかし、やっぱり最後には、
「もう浮気なんてしてないってば、又さんだけだもん」
と言う言葉に、グッと来て射精してしまう。
 
  もし、このエッセイを読んで、自分とのエッチで彼氏が本当に気持ちいいと思っているかどか不安な女の子は、とりあえず、声を大にしてみることをオススメする。
  世の中には僕のように言葉だけでイク人間は珍しいけれど、しかし、生物学的上、男がちんちんをまんこに入れなければ、セックスは成立しないわけで、どうしても男は攻め手、女は受け身にならざるを得ない。
  そうなると、セックスの最中、男は何度もボタンを押している状態となる。
  エレベーターで閉まるボタンを一度押して、すぐに閉まらないと何度も連打する人を良く見掛けるが、大体が中年のおじさんか若者のあんちゃんか、悪戯な坊主だ――つまり、男は常に不安なのだ。
  ボタンを押したら、すぐにリアクションが返ってこないと、不安で不安でしょうがない悲しい生き物なのだ。
 
  そこに男女のズレがある。
  女性は、男が思うセックスの魅力を勘違いしている。
  可愛い顔、巨乳、スレンダーな身体、締まったくびれ、細い脚――もちろんそれらの身体は大きな魅力になるだろう。
  しかし、セックスだけに限定すれば、それらは必ずしも絶対的な魅力ではない。
 
  大切なのはリアクション。
  別に「もう壊れちゃう」とか「おかしくなっちゃう」とか「こんなの初めて」などと定番のセリフを練習して上手に言えとは言わない。ただ、いつもよりも吐息を荒くして、あえぎ声を大きくするだけでいいのだ。
  おっぱいを触られたら、いつもよりもボリュームを上げて「あんっ」と言えばいい。巨乳だって、感じてくれなかったら、男にとってはただの脂肪の塊なのだ。感じるからこそ、パイオツなのだ。
「お前、声、大きいよ」
  そんな風に彼氏に笑われても、構わずに大きな声を出すといい。
  恥ずかしがらなくてもいい、どうせお尻の穴まで相手に見られているのだ。ベッドの上はもう一つの女の舞台、わざとらしく演技するぐらいがちょうどいいのだ。
  男はいつもと違う彼女の態度に戸惑うだろう。しかし、自分が少し触れるだけで敏感に反応する身体を目の当たりにすると、次々にあれこれと試したくなるのだ。そうなれば、こっちのもの、今までどこか素っ気の無かった彼氏の前戯が徐々にしつこくねちっこくなっていき、自然に彼女の声も高く上擦っていくに違いない。
 
  そうそう、忘れてはいけないのが男の子も声を大にする場面がある。
  それは女の子が攻め手に回る時――そう、フェラチオだ。
  又三良にフェラチオをする女の子はいつもどこかご機嫌だ。なぜなら、僕はたくさんの声を掛けるから、ペニスを下から舐めあげて、亀頭をパクってくわえてくれれば、今までに何度もされてるのに、
「あああ、なんて、気持ちいいんだろ」
と大声で言ってしまう。舐められれば舐められるほど、腰を突き出して息遣いが荒くなり、「可愛いね」、「ありがとう」、「大好き」、「ホント上手だね」、「絶対、離さない」、「キレイだよ」、「○○(ひたすら名前を呼ぶ)」、「気持ちいいよう」、「たまんない」、「あー、もう最高」、「愛してる」などの言葉が、スムーズに口から出るようになる。
  そうそう、言葉だけではなくて頭を髪を撫でてあげるのも重要だ。いとおしさが指の先から伝わり、彼女もまたもっと気持ち良くさせてあげようと、どんどんと気持ちを込めて上手にやってくれることだろう。
 
  女の子は声を大にして――さあ、さっそく試してみよう。
  ん、もしダメだったらって?
  その時は連絡さえくれたら、僕が身を持って声を大にしてあげるから。

 (了)
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